轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いやなかんじ
いやな感じ
高見 順
「文学界」1960(昭和35)年1月~1963(昭和38)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 292,113 字 · 587 页
生れて初めての恋をした、その相手の女から、まんまと俺はリン病をうつされたのだ。俺は歯をガリガリと噛みならした。
女房にしたいとまで、こっちでは思いつめていたあのクララが、そういう俺だと分ってながら、そういう俺の心を知っていながらこの俺に、自分のヤチクヤ(ヤチがヤク、病気)なのを承知の上でうつしやがったのか。そう言えば、チャズくときには俺にかならず、サックを使わせていたのも、自分がヤチクヤなのを、ちゃんと承知していたからなのだろうか。
なんだって、あの日にかぎって、俺にリン病をうつそうとしたのか。なんだって俺にわざわざリン病をうつしやがったのだ?
俺はクララのところへ飛んで行った。朝の私娼窟はしらじらしい表情だった。
扉を蹴って、なかにはいるなり、
「おい、クララ」
と俺はどなった。
クララのかわりに富江が出てきて、
「いないわよ」
化粧をしてないその顔は幽鬼のような青さだった。
「どこ、行った」
「もう、やめたわよ」
う! と俺は息をのんだ。
「あの子も可哀そうに悪い男がついてて、どこかへクラ替えさ」
富江は歯をツーと鳴らして、
「この間、ちょうど、その男が来てたんだよ。