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イデオロギーがいろん

イデオロギー概論

戸坂 潤

第四章 文化社会学の批判「文化社会学」同文館、1932(昭和7)年4月5日<br>第五章 知識社会学の批判「思想 第101~103号」1930(昭和5)年7月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,000 字 · 316 页

青空文庫

* 歴史的原理の否定は、取りも直さず、歴史的必然性の何等かの意味での否定である。そこでは歴史的必然性を攪き乱すものとしての偉人――偉人は必ずしも歴史的必然性の攪拌者であるとは限らないのだが――に歴史的自由が許される。ニーチェの超人はかくて山を下りローマの街へ進軍する。パレートの知識社会学がファシズムのイデオロギーへ一貫していることは、注意すべきだ。パレートの弟子ムッソリーニは、晩年のパレートをその腹心の一人に数えたのである。

だがパレートの知識社会学にあっては、歴史的原理の代りに少くとも或る意味での実践的原理が支配している、ということは見逃してはならない。元来、歴史的原理が充分に歴史的原理としての資格を保つためには、それが同時に充分な資格に於て実践的原理でもなければならない、歴史的原理と実践的原理とは本来離れてはあり得ない――後を見よ。処で今茲で、歴史的原理の代りに実践的な原理が、従ってまだ充分な資格に於てではないが兎に角或る意味での実践的原理が、注目されている、というのである。何故なら、彼の社会学は一般に(Michels 等によれば)非論理的な行動の自然史だと考えられることが出来るのであるが、この非論理的な行動の構造を特に取り出して分析するならば、それが取りも直さず彼の知識社会学――イデオロギー論――