轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
「講談倶楽部」1959(昭和34)年1月~9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 149,721 字 · 296 页
「困ったな」彼は眉をしかめたが、困っているというより、むしろ自慢しているような、おろかな表情が認められた、「へんなときにへんなことがばれて面目ないが、泣かせるとか泣かせないとか、そんな色っぽい話じゃあない、よろず町の店で使っていた女中なんだよ」
「まあ、いいお好みだこと」
「魔がさしたのさ、酔っていてなにも知らなかった」と彼は云った、「ちょうど女房が湯治にいった留守で、酔いざめの水を持って来させたんだが、おつるのほうがその気でいたらしい、私にはこれっぽちもそんなつもりはなかったんだ」
「それで二人も子をお産ませになったの」とおよねはやさしく睨んだ、「口は調法なものだというけれど、悪い方よ、あなたは」
「いや本当に魔がさしたんだ、女ひでりがしているわけじゃあなし、誰がすき好んで女中なんかに手を出すものかさ」
「高麗屋、――というところね」と云っておよねは立ちあがった。
「どうするんだ」と源次郎が云った、「会う必要なんかありゃあしない、うっちゃっとけばいいんだよ」
「あたしの気が咎めるんだもの、そうはいかなくってよ」およねは男の自尊心を煽るように云った、「あたしがその人からあなたを横取りするようなものですもの、その償いぐらいしなければ冥利が悪いわ」