轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
熊井青年は実に突飛なことを言い出した。
「そりゃできないこともないけれど、そうして、どうしようというの?」
蘭子は毎日の送り迎えで、この豪傑青年とは仲よしになっていた。
「まったくお誂え向きの話があるんです。実は僕の母がその本人から頼まれて、そういう田舎娘を探しているんですがね。なかなか思ったようなのがないのです。ちょっと風変りな奉公口なんですよ」
「まあ、あたしご奉公するの?」
「ええ、そうですよ。うまい考えでしょう。あんたがいま知り合いのところへ逃げたんじゃあ、結局、恩田に見つかってしまうにきまっていますよ。そこを裏をかいてですね、敵の思いも及ばない大飛躍をやるんです。田舎娘に化けて、まったく関係のない他人の家へ奉公しちゃうんです。ねえ、神谷さん、どうでしょうね、この考えは」
神谷はハタと膝を打ちたいほどに感心した。いかにもレビュー劇場の事務員らしい、奇想天外、突飛千万の考案であったが、それだけに、敵の眼をあざむくのには申し分がない。
「そいつは面白いね。なんぼなんでも、蘭子ちゃんが、女中奉公をしようとは気がつくまいからね……しかし、女中さんとなると、使い歩きをさせられるだろうが、そいつがちっと心配だね」