轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

にんげんひょう

人間豹

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页

青空文庫

不服はないだろうね」

蘭子がお給金などで不服があろうはずはなかった。百円と言えば大した高給だ。この金額から想像しても、わがままお嬢さんのお守りはさぞ骨の折れることであろうとは思ったが、ほかの条件はすべて申し分がなかった。第一外出を禁ずるというのが、人眼を忍ぶ彼女に取って、何よりの好都合であった。いくらわがままだと言っても、相手は彼女と同年輩の娘さんである。声は笛みたいだけれど、そんなに邪慳な性質とも見えぬ。むしろ子供らしい無邪気なわがまま者らしく思われる。蘭子は、この様子なら当分ご奉公がつづけられそうに思った。

「では、それでよろしいのだね。とりきめましたよ……お前の部屋は、ここの次の間の小さい洋室じゃ。奉公人にはもったいない部屋だが、いつもお嬢さまの近くにいてもらいたいのでね。さあ、その荷物を次の間へ置いてくるがよかろう」

老人の言葉に従って、蘭子はその小部屋の机の上に風呂敷包みを置くと、そこに置いてある鏡台の前で、ちょっと身づくろいをして、元の寝室へ帰ってきた。

「お嬢さま、ではわたくしはあちらへ下がりますが、手はじめに何かこの子においいつけになることはございませんか」