轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
なぜって、あすこには、鉄管を塒にして二、三十人も、ルンペンがいるんだからね。そいつが人間豹を見つけたら、ただではおくまいからね」
話し手は、そこでまた醜怪な顔をニュッと突き出して、薄気味わるくウフフフフと笑った。
「誰です。あなたは誰です?」
文代さんは、まっさおになって、この奇怪な人物を凝視した。誰ですと聞くまでもない。これが明智自身でないとすれば、もう一人のやつにきまっているのだ。人間豹恩田にきまっているのだ。
「フフフフ、誰でもない、君の亭主だよ。君の可愛い亭主だよ」
彼はふてぶてしく言いながら、ノッソリ立ち上がって、文代さんに近づいてきた。ああどうして今までそれに気づかなかったのであろう。明智の変装なれば、こんなに眼が光るはずはない。怪物の両眼はまるで青い焔のように燃えているではないか。彼の情慾につれて、その火焔が刻一刻燃え熾って行くではないか。
文代さんは、痺れたようになったからだから、最後の力をふりしぼって、サッと立ち上がると、悪魔の手の下を潜り抜け、廊下へ飛び出して行った。
「小林さあん、誰か、早く来て……」
だが、不思議なことに、うちの中はシーンと静まり返って、誰も答えるものはなかった。