轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 155,989 字 · 311 页
わしが案内して上げてもよい」
と意外なことを言い出した。神谷は用心しなければならなかったのだ。老人の言葉の奥には、どのような恐ろしい企らみが隠されていたかもしれないのだ。しかし、彼は弘子の安否が確かめたさに、何を考えるゆとりもなかった。
「それじゃあ、ご案内ください。僕もこうしてお訪ねしたからには、すっかり安心して帰りたいのです」
神谷は立ち上がって、せわしく老人を促した。
「では、こちらへおいでなさい」
老人はさもしぶしぶのように、ヤッコラサと椅子を離れ、二つに折れた背中に両手を組んで、ヨチヨチと部屋を出た。
薄暗い廊下を少し行くと、外側に閂のついた頑丈な板戸があった。
「先ずこの中を、見てもらいましょうかな」
老人は言いながら、閂をはずして、先に立ってその部屋の中へはいって行った。
神谷はつづいてはいったが、部屋の中は薄暗くて、少しも様子がわからない。
「窓を閉めてあるのですか」
「さようじゃ。今窓をあけますから、少し待ってください」
老人は薄闇の中で、何かゴトゴトいわせていたが、やがて、バタンと大きな音がしたかと思うと、部屋の中が、突然まっ暗になってしまった。