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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

武夫の父親

その間に、白幽霊の一団は、また元のように一匹ずつ天井に向けて上昇していった。

ウラゴーゴル?

「待てよ……」

大隅学士は、首をひねった。

ウラゴーゴルとは、何処かで聞いた名前である。それは何処だったかしら。さあ、思い出せ、思い出せ、さあ、早く思い出せ! 学士は自分の頭を拳固でもってガーンと殴りつけた。しかしそれは脳髄がジジーンと痛みを覚えたばかりだった。

「……ああもし。ウラゴーゴルとは何です。どうか教えて下さい」今や最後に残った一匹の白幽霊――ではないウラゴーゴルが床の上から天井に昇ろうとするのを引き留めて、大隅は一生懸命に訊ねた。すると、その最後の一匹が応えた。

“ドクトル、シュワルツコッフが知っている……”

「えッ、シュワルツコッフ博士?」

最後のウラゴーゴルの姿も、遂に天井の向うに見えなくなってしまった。

武夫の父親

怪物ウラゴーゴル!

それはシュワルツコッフ博士に訊け!

大隅学士は只一人室内に取り残されたまま、暫くは物に憑かれたように、ウラゴーゴルとシュワルツコッフ博士の名をくりかえして叫んでいた。

よくは分らないけれど、あのウラゴーゴルは人間の幽霊ではなさそうに思える。