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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

武夫と再会

それは、今申したとおりアルゼンチンの山奥カピランクという地方です。そこには、また面白いことが起りつつある」

「ねえドクトル。一体この成長異常などという怪現象の原因というのは、何んなものなのでしょうネ。白幽霊ウラゴーゴルなどは、何んな役割をつとめているのでしょう」

するとドクトルは、ひどく狼狽の色を見せて、椅子から突立った。

「ウラゴーゴル? 貴君はそれを知っていますか。……ウラゴーゴルこそ、この研究の最後の鍵なのです。しかし彼等は実に聡明だ。われわれは彼等を怒らせてはならない。ああウラゴーゴル」

ドクトルは、神に祈りを捧げるときのような恰好をして、天を仰いで歎息をした。

武夫と再会

ウラゴーゴルを怒らせてはならぬと、大隅学士に注意したシュワルツコッフ博士は、それからというものは、急に沈黙してしまって大隅学士がなんと聞こうとも、それ以上の説明を避けた。そしてひたすら辻川博士が早く帰ってくれば、鳥渡逢って帰国したいというばかりだった。

白幽霊ウラゴーゴル! あの怪物は、どこまで大隅学士を悩ませれば満足するのか。大隅ばかりではない。シュワルツコッフ博士すら、ウラゴーゴルに一目も二目も置いている有様がよく分った。