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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

ウラゴーゴルと握手をしているらしいのは、辻川博士だけらしいが、その博士はいまごろ大戸神灘の海底で白骨に化していることだろう。シュワルツコッフは、それを何時になったら感づくことやら。

「これは困った。なんとかしてウラゴーゴルの秘密を早く知りたいものだ。何とかいい工夫はないものか」

と、大隅学士は頭の痛くなるほど考えこんだ。

「そうだ。僕は大切なことを忘れていた。この上は、武夫君に会って、相談をするより外にいい方法がない」

そう思いついた大隅は、シュワルツコッフ博士に挨拶をした。例の怪力線洋杖を持ったまま室を立ちいでた。

彼はそれからソッと階段を降り、本館を出て、裏庭の方へ歩いていった。

思えば武夫のことはもっと早く考えつくべきでもあった。しかし大隅の苦悶したことは、なにしろ今の武夫は、例の成長異常現象に遭ってまるで化物のような巨大な身体をもっている。だから彼はそのような不恰好な身体を大隅に見せることを好まぬだろうと思って遠慮していたのである。しかし今は、その原因も、シュワルツコッフ博士の説明によって、只今地球上に起りつつある一つの異常現象のせいだと分ってしまえば、何の恥かしい事があろうか。