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ちきゅうとうなん

地球盗難

海野 十三

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页

青空文庫

と認めてあった。それこそ大隅学士が急遽電報でもって中央気象台へ注文したものだった。封筒を破いてみると、果して内部からはクルクル捲いた紙が出て来た。それにはガリ版でもって、何だか細かい数学が所も狭く書き並べられてあった。

「ああ、どうも済みませんでしたネ、佐々君」

と、彼は飛行家に呼びかけた。

「ササ君じゃない――サッサ君だ、サッサ砲弾というのが、僕の名前だ」

彼は井戸端で、すっかり裸になって、汲みあげた水でもって、気持よさそうに身体を拭いているところだった。見たところ二十四、五の溌剌たる青年だった。

「ああ、そうですか。――しかし困りましたね。貴方の飛行機は壊れちまったようで……」

「ああ、あれなら大したことアないよ。一日か二日あれば、すっかり直る」

言葉は乱暴だが、気持は至極からりとした若者だった。

「わざわざこんなもののために飛んで来ていただいて恐縮ですなア」

「いや、なんのなんの」といいながら、佐々砲弾は脱いだ服のポケットから小さい帳面と鉛筆とを出して、猿股一つのまま、学士の前へ進み出た。

「ところで一つ話をして下さい。大隅さんは此処で何を研究し、何を発見されたんですかねえ」