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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
「ラヂオ科学」1936(昭和11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页
大隅学士の哲学
わし等がたらふく腹を膨らませて無駄話をしていると、さあこの籠をもう一度船までもっていってくれというのじゃ。それからわし等は、また三つの籠を担ぎあげた。ところが奇体なことに、二つの籠は軽くて中が空っぽだと分ったが、もう一つの籠はズッシリと重いのじゃ。そして肩に担ぎあげていると、どうも変な具合じゃ。あれは何が入っていたのじゃろうかどうも腑に落ちん。……」
といって甚平は額から脂汗を流しながら、ふと押し黙った。佐々記者は透かさず、
「実に変なものだったネ、あれは……。しかし後で三人で話し合ったところでは……」
「そうじゃ、……話し合ったところでは、どうもこの籠の中には、何か生き物が入っているのじゃないかと……」そこまで喋ると、どうしたのか甚平の面には突如としてひどい苦悶の色が浮かんできた。
大隅学士の哲学
「こいつは風向きが悪いぞ。ナムケンゲンコーリ、ナムケンゲンコーリ。あーらカンツーム、ヴィスヴィス。……うーむ、そこで覚めちゃっては困るよオ。なんとか持ち直してくれイ……」
催眠術の達人と称する東京通信新聞の佐々記者は、目を瞑じたまま苦悶している村の助役古花甚平に向って、なおも一生懸命に呪文を浴せかけたけれど、どうにも風向きはよい方に転じなかった。