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ちきゅうとうなん
地球盗難
海野 十三
「ラヂオ科学」1936(昭和11)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,072 字 · 168 页
何れにしても奇怪なる起伏凹凸をなして居り、丘陵があるかと思えば、泉水が流れ、雑木林があるかと思えば、巍然として洋風の塔が聳えたっていたりする。博士邸を囲る塀が城塞のように高いのも無理がない次第で、塀を高くして置かなければ、この異様な邸内の模様は容易に村人の眼に停り、物議の的にならない筈はなかったから。
匍いだした大隅学士は、この異風景の中に、呆然として立ちつくした。それはまるで千里の波濤を越えて、異境に遊ぶの想いがあった。日本中を探しまわっても、恐らくこれほど風変りな邸を持っているところがまだ他にあろうとは思えない。彼はこんな異風景を愛玩する辻川博士の心を恐ろしく思った。
だが大隅学士の愕くのは、いささか早やすぎた。なぜなれば、彼がこの怪園を徘徊してゆくうちに、たまたま欝蒼たる欅の大木にグルッと取巻かれた地内に建っている非常に背の高い頑丈な鉄の檻を発見したが、その檻の中を一と目覗いたときの驚愕に比べると、怪園の異風景などは物の数ではなかった。一体その檻の中には何が入っていたであろうか。
「おお、これは……」
といったきり、彼は化石のように立ち竦み、普段は赤いその顔からはサッと血の気が一滴のこらず退いてしまった。