轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页

青空文庫

流石の悪漢青眼鏡も、この不思議千万な光景には、あっけにとられて、咄嗟に採るべき手段も思い浮ばぬ様子である。

「わしはお前さんの為に地下室へとじこめられた。全く抜け出す術はない様に見えた。だが、その不可能な所を抜け出して見せるのが、三笠龍介の家の芸でね」

三笠老探偵は、抜目なくピストルの狙いをあちこちと動かしながら、うわべは呑気らしく話し始めた。

「抜け出すと云うと、わしはすぐ様相川家へ駈けつけたが、その時には、もうお前さんがわしに化込んで、相川さんを説きつけ、珠子さんをどっかへ連れ出そうとしている所じゃった。無論お前さんを警察へ引渡すのも心のままであったが、わしはそれをしなかった。なぜか。わしはお前さんの外に、本当の張本人がいると考えたからじゃ。つまり、そこな青眼鏡の大将にお目にかかりたかったからじゃ。

その為には、わしは随分と犠牲を払っとる。若しわしが赤蠍の張本を捕え、その殲滅を目的とするのでなかったら、可哀相な珠子さんに、これ程怖い思いもさせず、相川さんが麻酔薬で眠らされる様なことも起らなかったであろう。随分の犠牲じゃ。そこな青眼鏡の大将、わしはそれ程お前さんに会いたかったのじゃよ。