轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
それに、一番いけなかったのは、三笠探偵がなぜ倒れたのか、その原因を誰も知らないことであった。突然うめき声を聞いた。探偵の倒れる姿を見た。かと思うと、もう電燈が叩き割られて、忽ち真の闇であった。何を考える隙もなかった。この不意の下手人が張子の岩だなどとどうして気が附くものか。
誰しも賊に援兵が現われたものと思った。相手はどうせ飛道具を揃えているに違いない。味方は守青年のピストルがただ一挺だ。何よりも生命の危険が警官達を脅かした。その中で、老探偵の介抱はしなければならず、闇の迷路に逃げ込んだ賊を追わなければならなかったのだ。彼等が戸惑ったのも決して無理ではない。
併し、それだけならば、まだよかった。やがてもう一つ、非常な妨害が起ったのだ。
重なり合った闇の竹藪を通して、まるで怪談の人魂のように、チロチロと揺ぐ光り物が見えた。賊の照らす懐中電燈かしら。それにしてはいやに赤茶けた陰気な色だがと思っていると、あちらにも、こちらにも、チロチロチロチロと、異様な光り物は、見る見るその数を増して行った。
火の玉程の赤いものが、ユラユラと限りもなく、闇の中を拡がって行く。