轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
そうじゃろう。あの時お前さんが真先に駈けつけて来て、倒れている珠子さんの側へ、用意していた蠍をソッと投げ出して置いたのじゃ。……どうです。相川さんも守君もよく思い出してごらんなさい。こういう風に考えたら、妖虫団の魔術なんて、たわいもないものじゃありませんか。
それから、わしの宅で、わしと守君とを地下室へ落した、あの偽探偵じゃ。あいつがどうして、守君の訪問を予め知っていたか。外でもない、殿村夫人がちゃんと手配をして置いたからじゃ。守君がわしの留守へ電話をかけて、それから夜の十時にやって来るまでには、たっぷり時間があった。その間に殿村夫人が外部の手下と打合せをするのは訳もない事じゃからね。
同じ晩に、相川さんのお宅では、珠子さんのベッドの下に赤蠍を描いた紙切れが落ちている、新聞の夕刊に赤鉛筆で蠍の絵が描いてある、女中部屋に同じ様な絵が貼りつけてあるという騒ぎじゃった。あれなども、殿村夫人が、先へ先へと廻って、赤鉛筆であんなものを描いて置いたとすれば、何の変てつもないことじゃ。第一、珠子さんのベッドの下の紙切れを発見したのが殿村夫人その人じゃなかったかね。