轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
地声で話したんじゃあ一ぺんに女と知れてしまうからね。その苦しまぎれの作り声が、陰々たる妖気を漂わして、思いがけない効果を上げておったのじゃよ。
今度は桜井さんでの出来事だが、先ず最初、お前さんがお目見えに来て、品子さんとたった二人でいた時に、突然品子さんの肩へ蠍の死骸がからみついた。そんな魔法みたいな事が起って堪るものではない。これも種を割って見れば、至極つまらんお笑い草じゃ。つまりお前さんが話をしながら、ソッと品子さんの肩へ手を廻して、あの虫をくッつけて置いたという訳さ。ハハハハハハ。
さて、今朝の出来事じゃが、品子さんが誘拐された時、なぜ女中だけが殴打されて、殿村夫人が手数のかかる猿轡なぞはめられていたか。この点に誰も気づいていない様子じゃが、ここにトリックがあった。殿村夫人は賊の為にひどい目に遭ったと見せかけなければならぬ。と云って、部下のものが、首領をなぐる訳には行かない。そこで、手数のかかる猿轡という事になったのじゃ。尤も、少しも手向いなんぞしない。却ってお手伝いをして縛られたに違いないから、手数と云っても大したことはなかったがね。賊の首領が被害者になって見せるなんて、実にうまく考えたものじゃ。