轻松读懂日语经典作品
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
「キング」大日本雄弁会講談社、1933(昭和8)年12月~1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 120,290 字 · 239 页
操一氏が席に戻って報告すると、誇りの高い民間探偵は、少し不快らしい表情になって、「警察も警察じゃし、守君も守君じゃが、それよりも、第一番にしなければならぬ事は、珠子さんの保護です。守君まで誘拐されたとすると、事態は益々切迫したと考えなければならん。今は珠子さんを、この家に置くのは危険千万じゃ。相川さん、何処か適当な隠れ家をお持ちではないかな。御親戚でもよい。兎も角、この家は敵の目標になっている。犯人は邸の様子をすっかり心得ている様じゃ。いや、彼奴は邸内のどこかに潜伏していまいものでもない。ここは危い。早く珠子さんを連れ出さなければ」
操一氏は、家に置くのも恐ろしいけれど、又外へ出すのも不気味だがと、暫く躊躇していたが、そういう事には慣れ切った老探偵が再三勧める上に、殿村夫人まで、今にも犯人が襲いかかって来る様に怖がって、探偵の説に賛成するものだから、遂に、三笠氏と一緒に操一氏自身が附添って、珠子を一時郊外の親戚へ預けることに決心した。
だが、読者諸君は、この三笠龍介と自称する男が、何者だかという事を、そして又、珠子連出しを勧める彼の底意が、どんな恐ろしいものだかを、とっくに気づいていられるに違いない。