轻松读懂日语经典作品
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きょうふおう
恐怖王
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年6月~7月、9月~10月、1932(昭和7)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 66,038 字 · 133 页
持参金十万円
書生達は棒切れや細引を用意して、金庫の前に待ち構えた。
五分、十分、十五分、息苦しい時が遅々として進んだ。
と、案の定、金庫の中にゴソゴソと妙な物音がしたかと思うと、いきなり扉がゆるぎ出し、内部から、パッと押しあけられた。
「ワッ」
という様なえたいの知れぬ叫声が起った。賊はとうとう我慢し切れなくなって、自から敵中に躍り出したのだ。
持参金十万円
金庫の扉が内部からパッと押し開かれた。そして、何か黒い塊りみたいなものが、鉄砲玉の様に飛び出して来た。
「アッ、ゴリラ! 貴様だったナ」
蘭堂は両手を拡げて鉄砲玉に組みつこうとした。それは恐怖王の同類の、かの醜いゴリラ男であった。ステッキを持った二人の書生が、バタバタと駈けよった。伯爵夫人は両手を顔に当てて、部屋の隅に蹲ってしまった。
だが、賊は、本当のゴリラではないかと思われる程、頑強で素早かった。彼は「ギャッ」と猿類の鳴声を発して、迫る蘭堂を突き飛ばすと、寝台の向う側に逃げ込んでしまった。その寝台の上には、京子さんの死骸が、まだ横わっているのだ。
「大丈夫、もう逃がしっこはない。出口は一つだ。サア、ゴリラ、出て来い」