轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

06 第六分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页

青空文庫

家老後藤将監も、もちろん鉄石の心に、今とて寸分の揺るぎもない。――だが、彼にはただひと粒の幼児、巌之助があった。この頑是ないものまでを、死なすにはしのびない。また武門の意義を負わせるには――余りにもまだ年少すぎる。

一見、敵ながら、頼みがいある人物とみていた官兵衛孝高に、彼は書を送って、

(父母なき一孤児を、養育して賜わるや)

と、意中を明かしてみた。

(父と父、武士と武士、相見たがいのこと、おひきうけした。明夜、三木川の畔までお連れあれ)

とは、将監がきょう手にした官兵衛からの返辞だった。

で、ここへ、わが子を従者に負わせて、連れて来たわけであったが、さすがに、あすは死を期している身だけに、

(これが最後)

と思うと、つい、子を諭しながらも、彼もまた、不覚の涙をどうしようもなかった。

突き放すように、

「巌之助。そちからも、ようおねがいせい」

と、膝を立てて、その可憐しいものを、官兵衛の方へ、わざと力づよく、追いやった。

官兵衛は、幼児の手をとって、

「かならず、お案じあるな」

と、くれぐれも約し、やがて母里太兵衛を呼んで、

「陣地まで、負って行け」

と、いいつけた。