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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

06 第六分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 200,320 字 · 398 页

青空文庫

お鷹八据を八人の鷹匠にすえさせ、供の近習も多くは騎馬で、愛智川の近くまで遠乗りをかねて出かけた。信長の好きは、騎馬、角力、放鷹、茶道といわれているくらい、狩猟は趣味のひとつだった。

毎日ノ御鷹野、御辛労申ス計リモナシ。御気力ノ強サ、諸人感ジ申ス也――勢子衆ト供ニ御狂ヒアリテ、御気ヲ晴ラセラル。

祐筆もこう記している。勢子や弓の衆はためにへとへとになるのだった。趣味といい余技といえば消閑のなぐさみに聞えるが、茶の湯にせよ何をやるにせよ、彼のはそんな生ぬるい沙汰ではなかった。

たとえば、相撲にしても、それを安土で観ようとなると、江州、京都、浪華そのほかの遠国からも千五百人からの相撲取をあつめて興行したりする。諸侯、群集と観覧のあげく、日が暮れてもまだ飽きないで、家臣の内から幾組も土俵にのぼせ、

(堀久太郎と蒲生忠三郎。ふたりして相撲え)

と、組合わせを命じたりしている。

忠三郎とは、後の蒲生氏郷。久太郎とは音に聞ゆる堀秀政である。こういう一世の人物や勇将を端的に土俵へあげて闘わせて観る愉快さには、またべつな興味もあったに違いなかろうが、ともかく兵馬倥偬のあいだにあっても、彼は天放快活に遊ぶ日はよく遊んだ。