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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

05 第五分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 页

青空文庫

それらの商人は、敵国の毛利領の哨海面を生命がけで冒して来て、播磨灘の室の津、その他の港へ、はいっている。秀吉はそれを諸将に斡旋して、金にかまわず購入させたのである。

それらの新武器の威力は、まず神吉の城で試された。

城の攻め口へむかって、築山をつき、または、材木で井楼を組みあげ、その高所に大鉄砲をすえて、城中へ撃ちこむのである。

城の土塀や門などを破壊するのは容易だった。もっとも目標とするのは、櫓と本丸の建物である。

しかし敵にも砲がある。また新鋭な小銃や火薬もある。井楼は幾たびも、粉砕され、或いは焼かれる。また組む、また撃ち砕かれる。

こういう悪戦苦闘のあいだに、一方では、寄手の工兵が濠を埋めて、石垣の下に迫り、また、「金坑の者」と称する土龍隊をつかって、地下道を掘鑿してゆく。

それを、夜となく昼となく、起番寝番と入れ交えて、間断なく継続し、城方の者をして、防ぐに遑なからしめる。――そういう戦法のもとにようやく陥落を見たのであった。

志方や神吉の小城でさえ、これくらいな努力が要った。まして三木の本城が、より以上、難攻であることはいうまでもない。