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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

05 第五分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 页

青空文庫

信長がそれをたいへん珍しがって見ていたからである。

信長は、城外へ出る時も、供人の中に、この黒奴を加えていた。京都へも連れて行った。

南蛮寺の伴天連たちは、すこし嫉妬もあって、或るとき信長にむかって訊いた。

(公には、よほど黒奴がお気に入ったとみえますな。いったい何処がよろしくてそんなに御寵愛なさるのですか)

すると信長は、即座に、

(汝らもみな同様に、目をかけて遣わしてあるではないか)

果然――これで信長の宣教師たちに対する心持は明白になった。――彼がオルガンチノを愛するのも、他の伴天連たちを見るのも、要するに、黒奴を可愛がるのと同じ意味のものだった。

それで思い出されるのは。

かつてオルガンチノが初めて信長に謁見したとき、土産物を献じた。その目録は、

鉄砲            十挺

遠目鏡 虫目鏡       八個

伽羅            百斤

虎の皮          五十張

八畳吊蚊帳

そのほか時計鐘とか、地球儀、織物、陶器などと珍しい物ばかりだった。

信長は子どものようにそれを展列させて眺めた。わけて地球儀と鉄砲とは彼の心をいたくとらえた。