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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
徳田秋声『日本の文学 9 徳田秋声(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:新世帯、足迹、黴、爛。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 页
二十五
「じゃこの人よ。どうぞよろしくお願い申します。」お鳥は口軽にお庄を紹介すと、やがて帰って行った。
女中はお庄を櫛巻きの女の方へつれて行った。女は落ち窪んだヒステレー性の力のない目でお庄をじろじろ眺めたが、言うことはお庄はよく聴き取れなかった。
帳場前の廊下へ出ると、そこから薄暗い硝子燈籠の点れた、だだッ広い庭が、お庄の目にも安ッぽく見られた。ちぐはぐのような小間のたくさんある家建ちも、普請が粗雑であった。お庄はビールやサイダーの広告のかかった、取っ着きの広い座敷へ連れられて行くと、そこに商人風の客が一ト組、じわじわ煮立つ鶏鍋を真中に置いて、酒を飲んでいるのが目についた。お庄は入口の方に坐って、しばらくぼんやりしていた。
「あんたも来て手伝って頂戴。」
女は骨盤の押し開いたような腰つきをして、片隅に散らかったものを忙しそうに取り纏めていた。
お庄は気爽に返事をして、急いで傍へ寄って行った。
その晩から、お庄は衆に昵んだ。
二十五
正雄がある朝十時ごろに、一の家を訪ねて行くと、お庄は半襟のかかった双子の薄綿入れなどを着込んで、縁側へ幾個も真鍮の火鉢を持ち出して灰を振っていた。