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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
徳田秋声『日本の文学 9 徳田秋声(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:新世帯、足迹、黴、爛。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 346,393 字 · 692 页
四
それが少し落ち着くと、曇ったような顔をして、後の窓際へ倚りかかって、パイレートを舌の痛くなるほど続けて吸った。
衆は食べ飽きて気懈くなったような体を、窓の方へ持って行って、夕方の涼しい風に当った。
やがてお銀が、そこらに散らかったものを引き取って行った。
お銀が初めてここへ来たのは、ついこのごろであった。ある日の午後、どこかの帰りに、笹村が硝子製の菓子器やコップのようなものを買って、袂へ入れて帰って来ると、茶の室の長火鉢のところに、素人とも茶屋女ともつかぬ若い女と、細面の痩せ形の、どこか小僧気のとれぬ商人風の少い男とが、ならんでいた。揉上げの心持ち長い女の顔はぽきぽきしていた。銀杏返しの頭髪に、白い櫛をして、黒繻子の帯をしめていたが、笹村のそこへ突っ立った姿を見ると、笑顔で少し前み出て叮寧に両手を支いた。
「……母がお世話さまになりまして。」
四
近所で表へ水を撒く時分に、二人は挨拶をして帰って行った。
「ちょッといい女じゃないか。」
笹村が四畳半の方で、その時まだ一緒にいた深山に話しかけると、深山は、「むむ。」と口のうちで言った。
「あの男は。」
「あれは情夫さ。