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にっき
日記
宮本 百合子
31 一九四八年(昭和二十三年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 27,379 字 · 56 页
九月八日
カンタビーレ
何ということだろう※(感嘆符二つ、1-8-75) 女言葉! 云おうとすることをいうというよりも、その半分の表現或はヒント、或は云おうとすることの身ぶりによって想像を刺激し、それを導き、自分にとって云わない部分を都合よい色どりで描かせてゆく女言葉!
九月八日(水)
仕事
九月八日
このごろ一時間ぐらいずつピアノの練習をする。大変心もちがいい。頭が楽になる。この上は、思い切って発声の練習をしたらどんなにいい心持だろう。小説をかいている人が仕事のほかの時間人に会って喋ってしまうというのはほんとに惜しい。とくに年をとった作家が、集中した仕事をするとき、一定の時間の執筆、それからちょいちょいの読書、音楽、それで十分だ。そして長い小説をかき上げるうちにピアノがいくらかひけるようになり声が出たらどんなにうれしかろう。
ピアノがぜいたく品となっているのは何と残念だろう。十数万円するというのは。そして折角うちにあるのに何だか楽にひけない気分におかれているというのは(林町)、いまピアノをひかない寿江子の念がつきまとい、批評や憎悪がからまっていて。
カンタビーレ
柳田謙十郎氏「無抵抗の倫理」