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にっき
日記
宮本 百合子
31 一九四八年(昭和二十三年)
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 27,379 字 · 56 页
女言葉
テーマそのものに対して。そして書かれるモティーブにおいて。どこにも人間の問題に作者としてふれてゆく心の傾斜がない。自然主義リアリズムから田山花袋の熱をぬいて正宗白鳥が現代式ボス化するとこうなる。
まるで立ちながら口のはたも拭かずへどをはいているか、さもなければ三度目のオクビでもどって来たものを反芻してでもいるようだ。この無感動と憎たらしさがこの作者の昨今の文学的はったりのようだ。人生と読者とに対するふんというところがなければ、こういう露店的こわもては出来ないものだ。
女言葉
日本語に女言葉が特別に多い。私の生活にもどっさり女言葉がはいってしまっている。
日本の社会での女の歴史、それにつれて考えられる男の地位は、女言葉の多いだけ、差別があり、きゅうくつであり、感情表現が率直でないことを意味する。
自分が小説をかいていて外国の女のひとたちが話す言葉を日本語にしてその会話のニュアンスを出そうとする場合、どうしても女言葉になってしまうことが少くない。そしてそのたびに拘泥する。
きょう。『婦人公論』で呉茂一氏の「ギリシアの歌妓」という文章をよんで深く感じた。