轻松读懂日语经典作品
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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页
だが、その時であった。放心したように握ったままの受話器から、妙なしゃがれ声が聞こえてきた。ハッとして、耳を当てると、電話の向こうで確かに誰かがしゃべっている。ついさいぜんまで一郎青年が救いを求めていたその同じ電話で何者かがしゃべっている。
「お前は明智だね。ウフフフフフ、間に合わなくて気の毒だったねえ。オイ、明智、よくこの声を聞いておくがいい。わかるかい、この声が。ウフフフフフ」
悪魔の声だ。一郎を殺害した犯人の声だ。犯人が名探偵を嘲笑しているのだ。だが、それはなんという不思議な音調であったろう。男とも女とも、老人とも若者とも、まったく見当のつかぬ調子はずれの声であった。まるで九官鳥が人声をまねしているような妙に間の抜けた感じなのだ。
「おい、そこにいるのは誰だ。何が起こったのだ」
探偵はむだとは知りながらも、送話口にどなってみないではいられなかった。しかし、むろん返事のあろうはずはない。犯人は言うだけのことを言っておいて、その場を立ち去ってしまったのであろう。いくら耳をすましても、再び人の声は聞こえなかった。
ぐずぐずしている場合ではない。何はともあれ現場へ行ってみなければならぬ。