轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あんこくせい

暗黒星

江戸川 乱歩

「講談倶楽部」1939(昭和14)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 94,000 字 · 188 页

青空文庫

「心配しなくってもいい。さあ、じっと寝ていたまえ」

有本医師は、青年の手を取って、元のように横にならせ、毛布をかけてやった。

そこへ、ベルを聞いて、書生の一人がはいってきた。北森捜査課長が世話をした、刑事上がりの男だ。

「君、少しのあいだ、この部屋にいてくれたまえ。僕が帰ってくるまで見張りを頼む。油断をしないようにね」

書生が頷くのを見て、明智はもう廊下へすべり出ていた。そして、円塔の方へと足音も立てないで、風のように走り出していた。

円塔へは曲がりくねった廊下つづきになっていたが、母屋を離れると、にわかに廊下が狭くなり、電燈もついていないので、まるで穴蔵へでもはいって行くような感じであった。

塔に近づくにしたがって、明智は速度をゆるめ、足音を忍ばせ、油断なく身構えしながら、前方の闇の中を見すかすようにして進んで行った。

塔の入口のドアはひらいたままになっていた。ほとんど手探りでそこをはいり、しばらく息を殺して様子を窺っていたが、冷たい塔の内部は墓場のように静まり返っている。

こういう時のために、常に用意している懐中電燈を取り出して、チラッとそのあたりを照らしてみた。