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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

次は目的物が令嬢ではありませんが、甲と乙が同じ……」

「あなた」

と奥さんが遮った。

「何だい?」

「然ういうお話は若い方に申上げない方が宜しゅうございましょう」

「同じ船に乗っていたんだ」

「…………」

「しかしこれは割愛しましょう。ハッハヽヽ」

「ハッハヽヽ」

と三人はお相伴笑いばかりでなかった。然ういうことは覚りが早い。

「紳士的と言っても、要するに、敵に対して紳士の態度を忘れないことです」

「はあ」

「腕力さえ出さなければ、何をやっても差支ありません。勝てば官軍です。目的が手段を釈明してくれます」

と閣下は三人の非紳士協定を見抜いているようだった。

佳子さんは始終伏目になっていた。三人に好意を持っているとしても、若い女性としては差当り迷惑千万だったに相違ない。閣下が話し止むのを待っていたように、お母さんに何か囁いた。

「それでは私達はもうこれで」

と奥さんが気を利かした。佳子さんは又真赤になって、ニコヤカに一礼した。三人は立ち上って答礼した。奥さんも丸尾夫人も眼中になかった。佳子さんの後姿丈け見送って、気がついたら、閣下だけが居残っていた。

「これでお引き合せが済みました。