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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

用意周到の瀬戸君

しかし、女ですから、日のある中でございましょう」

「すると日曜の日中は、何処へも出られませんね」

「当り前でしょう、それぐらい。クリスチャンは日曜を神さまに捧げるじゃございませんか?」

と佳子さんは自ら任ずるところが高い。

用意周到の瀬戸君

瀬戸君は元より有力者を仲人に頼んで押しを利かせる積りだったけれど、溝淵閣下のような大物が手に入るとは思わなかった。最初は全然心当りがなくて困った。卒業と就職を報告しながら、懇意な先輩を訪れて歩いた。その序に当って見る。実はその方が主眼だった。しかし橋本家と交際のあるものは一人もなかった。それから父親の友人数名を思い出した。その中に文部省の技師上りで謡曲の師匠をしているのがある。父親も東京にいる頃、その人から手ほどきを受けた。瀬戸君は当時中学生だった。諸星さんとお父さんが遠吠えをするから勉強が出来ないと言って、母親に苦情を申入れたことがある。しかしこれへ当って見る気になって訪ねて行ったら、よく覚えていてくれた。卒業して就職したことを話すと、諸星さんはもう謡曲の入門に来たと早合点をして、

「今日はこれからお稽古が始まりますから、聴いていらっしゃい」