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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

「立派な人じゃございませんか?」

「よく拝見していないんですもの。二三度偶然お目にかゝったばかりですから」

「それじゃ今度お出になった時、ゆっくりお話を伺って見たら何うですか?」

「然うね。お母さんはお加減が悪いってことにして、私がお接待に出れば宜うございますわね」

「えゝ」

「それじゃ然うして見ますけれど、私、大抵お断りよ。橋本さんへ日参をなさる御精神が感心出来ませんから」

「無理にとは申しませんわ」

とお母さんはその辺で満足した。好い婿だと思っているけれど、横取りということが疚しい。

瀬戸君は大変な仲人を選び当てた。その次に溝淵閣下を訪問した時は見合だった。尤も自分は然うと気のつく筈もない。佳子さん相手の折と違って、為めにするところがなかったから、態度が申分なかった。風采は素より橋本さんの方で及第をしている。富士子さんは好い印象を受けた。

「お父さん、私、瀬戸さんなら、御交際を願っても宜うございますわ」

「俺が三月に亙って考査を重ねた丈けのことがあるだろう」

「でも橋本さんの方の御成績がお悪いんじゃございません?」

「いや、彼方が好いから此方へ欲しい。悪いようなら彼方へ譲る。