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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

神算鬼謀

と閣下は満足だった。

「オホヽヽヽ」

「弾が敵方から飛んで来たようにお見せになる丈けが御苦心でございましょう」

とお母さんも流石に大将夫人だ。

「三人もあるんだから、一人ぐらい取ってやる方が問題を簡単にする。橋本君からお礼を言われても宜いんだ」

「瀬戸さんは今度いつお見えになりますの?」

「来週の今晩だ。一週間毎に報告に来るんだが、もっと早く呼びつけても宜い」

「私、橋本さんの方からお断りして戴くのなら、厭でございますわ。苟くも断られた方なんか相手に致しません」

「断って貰うには頼まなければならん。俺は頭は下げない。橋本君ぐるみ引っかけてやる」

「まあ/\」

「お父さんに任せて置きなさい」

「宜しくお願い申上げます」

と富士子さんは決心がついた。

神算鬼謀

翌日、溝淵閣下は橋本閣下を訪れた。以来月余、夫人に一度足を運ばせたきり、全く御無沙汰をしていたところを見ると、草鞋千足の仲人でない。確かに初めから横取りの意思があったのである。御無沙汰のお詫びをした後、

「実は橋本閣下、私は今日は坊主になって罷り出なければならないのですが、この禿頭に免じて、特別の御用捨を願います」