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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

操縦自在

「あるとも」

と小宮君は甚だ頼もしかった。

操縦自在

瀬戸君は仲人の溝淵大将から速達で呼びつけられた。佳子さんが病気に託けて面会を断った翌日だった。早速出頭したら、閣下は書斎へ通してくれた。しかし腕組みをしたまゝ、頻りに溜息をついて、ナカ/\切り出さない。

「閣下」

「困ったよ、瀬戸君」

「僕、察しています。橋本閣下からお断りがあったんでございましょう?」

「君は矢っ張り頭が好いな。実は昨日橋本君が自身で見えたのだ」

「僕も昨晩伺って、様子が変っていると思いました」

「令嬢にお目にかゝったかね?」

「いや、玄関払いでした。手の裏を覆したようです。実は今晩御報告かた/″\御相談に伺う積りでいたところへ、速達のおハガキを頂戴致しました」

「思いがけないことになってしまったよ。それが俺の口からは話し悪いんだ。全責任が俺にある」

「そんなことはございません。何か僕に落度があったんです」

「いや、君そのものは申分ない。俺が不用意の裡に余計なことを言ったものだから、妙な誤解を被ってしまった」

「何ういうお話でございますか?」

「要するに令嬢の疑心暗鬼じゃ。婦女子というものは得て然ういう誤解をするものらしい」