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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

「はあ」

「しかし依然として酒も飲まず煙草も吸わず、カフェーの敷居も跨ぎません。習い性となってしまって、立派な石部金吉に育ち上りました」

「それはお父さんが鉄道の工学博士だからでしょう」

「何ういう意味ですか?」

「石や金ばかり扱っていらっしゃるから……」

「成程」

「ハッハヽヽ」

「俊彦もその調子だと宜いんですが、ムッツリもので困ります」

「余所では可なり、おやりのようですけれどもね」

「迚も/\」

とお父さんは決して信じない。

「駄目だよ、僕は」

と吉川君は別人だ。

「煙草は本当に嫌いのようだね」

と安達君はそれ丈け認めてやった。

「一つこれから修業して見ようか?」

「修業なんかすべきものじゃない。お父さんを御覧。やめようと思っても、やめられなくて困っている」

とお父さんはその証明のように煙草に火をつけて、

「安達さんはお酒の方も可なりおやりだそうですね」

と頭から極めてかゝった。

「いや、真の少しです。それも会なんかで強いられる時丈けです」

「その会の時です。俊彦はいつもあなたの介抱で晩くなると言っています」

「そんなことはありませんよ」

「宜いですよ、お匿しにならなくても」