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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

正直者と軍師

正直者と軍師

その晩、安達君はそれからそれと考えて、容易に寝つかれなかった。吉川君も強敵だったけれど、瀬戸君に至っては更に侮り難い。これは一体何うなるのだろう? 吉川君丈けでも持て余すところへ、瀬戸君はもう疾うに申込んで交際を始めているのだ。此方は未だ郷里から手紙が来ない。二人に出し抜かれたのだから念が入っている。先口から考査されると、此方の番にならない中に何方か及第してしまう。しかし然う右から左へは定めまい。就職だって、溜めて置いて一遍に銓衡する。申込の順番は問題じゃなかろう。矢張り一番適任の者が採用される。

安達君は大谷夫人から聞いた三つの条件を思い出して、三人を当て嵌めて見た。第一、成績が好くて前途有望の方とある。学校の成績からいうと、瀬戸君が図抜けている。追随を許さない。吉川君と自分は似たり寄ったりだが、席次は此方が下だ。前途有望の点も瀬戸君に先ず指を屈しなければならない。学位を取る積りだ。将来母校へ戻って教授になる見込がある。吉川君は此方と同じような会社員だけれど、親の光が手伝う。学校を出ると直ぐに就職したのもその為めだ。今は然う違わないが、十年二十年の後には開きが目立って来るかも知れない。