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きゅうこんさんじゅうし
求婚三銃士
佐々木 邦
「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页
そこで第一の条件は瀬戸君、吉川君、それから自分ということになる。次に第二は多少資産のある方である。月給丈けでは困るという意味らしい。悉皆察している。これは吉川君が一番だ。次が瀬戸君だろう。親父が腰弁だと言っているけれど、内務部長なら相応のものだ。多少残しているのだろう。案外裕福かも知れない。一向足掻かないのでも分る。見込のないのは自分だ。家の財産は山に飼ってある馬ばかりだと聞かされている。それで当てにはしなかったが、この四五日考えた結果、百円の馬を年に五頭宛貰うことに決心しているけれど、果してくれるか何うか分らない。年五百円というと一万円の利子に当る。昨今は金利が安いから、一万五千円の資産と見ても宜しい。しかしこれから生れる馬を当てにするのは捕らぬ狸の皮算用に近い。第二の条件は、吉川君、瀬戸君、それから自分だ。これでビリが二度続く。第三は成るべくは係累のない方、少し無理な註文ながら、くれたでもなし、貰ったでもなしというような身軽な方とある。これは自分が一番だ。三男坊だから係累がない。吉川君も瀬戸君も長男だ。両親が控えている上に弟妹がある。瀬戸君は祖父母が土佐に隠居していると言った。