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きゅうこんさんじゅうし

求婚三銃士

佐々木 邦

「講談倶樂部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年10月~1935(昭和10)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,326 字 · 330 页

青空文庫

と橋本夫人が笑い出した。

「何ういう御失策でございましたか?」

「それが何でもないことですから、婿も抗議を申入れていますの。お目にかゝっている時、地震が揺りました。二週間ばかり前でございます」

「ございましたわね。可なり大きなのが」

「この方は揺り出すと直ぐに立ち上って、如何にも不安らしい顔をしたから、迚も見込がないと申すのでございます」

「まあ」

「主人は一生軍艦に乗って来たのですから、揺れることは平気でございます。婿も私もその辺を斟酌して下さるように申入れましたが、『あれはいかん。あれはいかん』と首を振るばかりで受けつけません」

「むずかしいんでございますね」

「地震さえ揺らなければ、無論及第する人でございます。思い込んだが最後、梃でも動かない性分ですから仕方ありません」

「瀬戸さんは及第なさいましたか?」

「はあ、あの方はナカ/\才物ですって。褒めていました」

「吉川さんは如何でございましょう?」

「二三日中にお目にかゝると申しています」

「そのメンタル・テストに及第した方が御交際を願えるんでございますね」

「はあ」

「吉川さんも瀬戸さんも要領が好いんですけれど、安達さんは心配ですわ。