轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
「新青年」博文館、1936(昭和11)年2月~6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 109,982 字 · 220 页
深夜の天使は天真爛漫に笑いつづけている。……
そのとき何となく外が騒々しくなってきた。
「何だ。又おっぱじまったのかナ。……」
丼を空けたあとに湯を注いで貰って呑んでいた連中がガヤガヤ云いながら、屋台を出ていった。どうやらこの塀の中の工場らしいが、呶鳴りつけるような大きな声やら、重いチェーンを引上げるらしくガラガラという音などが一しきり喧しく響いてきた。何だろう? と思い、娘に聞こうかと顔を上げてみたが、彼女は全然気にしていないらしく、平然として丼を洗っているので、こっちから問うのが恥かしくなった。
全くもって、深夜の世界には、いろいろ珍らしい出来ごとが後から後へと引切りなしに起っているのだ。ラジオ体操のアナウンサーの声とともに起き、夜の気象通報とともに睡るような多くのT市民たちには全く分らない別の世界なのだ。彼等は全く知らない。彼等が快い高鼾を掻いている間に、その枕許を起重機が軋み、刑事に追われた泥棒が走り、ゴミ箱に睡るルンペンの心臓がハタと停り、死所を求めて彷徨う家出人が大金の入った蟇口を拾い、硝子壜に白い牛乳が一杯詰められては蓋をされてゆくのだ。