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げんだいゆいぶつろんこうわ

現代唯物論講話

戸坂 潤

「現代唯物論講話」白揚社、1936(昭和11)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 251,295 字 · 490 页

青空文庫

意識あるプロレタリアこそが真正の大衆であるというような英雄主義的大衆観念は今ではあまり見当らなくなったにしても、今度は之と反対に、大衆のもつ市井的な特色だけを誇張した処の人民という観念も手近かにあるし、「国民戦線」(之はフランスの右翼の大衆組織の名だ)の国民というものも之と甚だ紛らわしい。そして文化問題は社会層の意識の自由な表現を無視出来ないのだから、この困難は決して軽んじることは出来ないのである。だが少なくともフランスの所謂人民戦線を典型にとるなら、大衆(無産労働大衆)とその内に含まれる中核としてのプロレタリアートとの間の有機的〔結合〕について、一応の理解を失うことはなかろうと思う。

最後に注意したい点は、先程から私は主に文学的な文化人をインテリゲンチャの代表者として想定して来たということである。だがインテリゲンチャの類型には二つの極があって、一方は広義のジャーナリスト(文筆業者・法文経関係の学者・記者・其の他)であり、他方は生産技術家(乃至自然科学者・医者・等)なのである。今日の日本に於て「文化擁護」の運動に直接たずさわるものは、勿論主としてこの文学的なジャーナリストの方である。