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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
03 下巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 页
電話は明くる日の夜、約束通り帝国ホテルから懸って来た。そして、送別会は明後々日の午後五時からと決定したこと、会場は帝国ホテル内のこと、出席者は井谷と娘の光代、国嶋権蔵氏夫妻と同令嬢、御牧氏、それに神戸側の代表としてあなた方お三人が御出席下さるとすると、都合九人は確実であること、等を知らせて来、なおあなた方は東京は何処へお泊りになるのであろうか、御本家がおありになることだから多分あちらへお泊りのことかとも思うが、お互の連絡に便利であるから、いっそ帝国ホテルに泊られたら如何であろうか、今月から来月へかけて東京は二千六百年祭その他で、殆ど全部の旅館が詰まっているが、幸い国嶋氏の親戚の方が此処のホテルの一室を取っておられるので、それをあなた方の方へ廻し、その方は国嶋邸へ泊ってもよいと云っておられるが、………と云う問合せなので、どうせ今度は、妙子が一緒であるし、雪子もあんなことを云っているので、出来れば本家へ内密にしたいくらいな際であるから、幸子は咄嗟に思案して、そう云う訳なら勝手ながら是非その方に左様にお願いして戴きたいこと、出立は明日の夜行か明後日朝の急行にすること、出帆の日まで滞在して横浜までお供したいのであるが、そう長く三人が家を空ける訳にも行かないので、不本意ながら送別会だけで失礼させて戴くこと、それで