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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

03 下巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 页

青空文庫

件を織り込んで行くのであった。幸子たちは何となく雑談を交す気持でいるうちに、井谷が既に雪子のことを国嶋夫妻や御牧に話したばかりでなく、かねて手許に預かっていた雪子の見合い写真までも示したこと、写真の評判が非常によいこと、昨夜も国嶋邸で、雪子がとてもそんな歳とは見えないと云う説が専らであったこと、御牧は実物にお目に懸る迄もなくこの写真なら結構であると云い、蒔岡側に故障のない限り、自分では早くも雪子を貰う算段をしていること、井谷は仲人口は利きたくないので、蒔岡の家庭の事情、―――渋谷の本家と蘆屋の分家との関係、義兄辰雄と雪子や妙子との折合のよくないことやその理由などに就いて、知っている限り隠さずに云って置いたこと、でも御牧と云う人はそんなことを聞いても一向平気で、結婚の意志を変えるなんと云う様子はないこと、彼は昔放蕩した経験があるので、そう云う点は非常に分りがよいと云うのか、超越してしまっていると云うのか、甚だ恬淡に出来ていること、等々を、いつの間にか知らされた次第であった。雪子と妙子とは、話がだんだんそっちの方へ深入りしそうなけはいを察して、お茶が終ると怱々に席を外して引取って行ったが、井谷は二人が立ち去ると直ぐ、遠のいて行く雪子の後影に眼を遣りながら、