轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
03 下巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 页
待つのは堪忍して貰いたいと運転手が云うのを、そう云わないで待っていてほしい、ほんの十五分か二十分の間である、待ち賃はよいだけ払うからと、拝むようにして頼み込んで車を格子先に停めて置き、二人は二階の八畳の間に上って、あの朱塗の八足台の卓や、頼春水の額や、蒔絵の棚や、その棚の上の置時計等が、相も変らず飾ってあるのを眺めながら姉と対坐したことであったが、今年六つになる梅子を除いて、上の子供たちは皆学校へ行く年頃になっているので、家の中は昔のように騒がしくはなかった。
「まあ、それにしたかて、一遍自動車帰って貰うたらどうやねん」
「帰りの車、この辺で直き掴まるやろうか」
「以前は道玄坂まで出たら何ぼでも通ったけど、………それより地下鉄で行きなさいな、尾張町から歩いたかて知れたある」
「又この次にゆっくりさせて貰いますわ、………どうせ近いうちに出て来んならんようになるねん」
「歌舞伎座、今月は何やってたか知らん」
と、ふっと鶴子は、そんなことを聞いた。
「茨木と、菊畑と、それから外に何やったか………」
雪子は、梅子が二階へ上って来たのをしおに、梅子ちゃん、下へ行こうと、その手を取って降りて行ったが、