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ささめゆき
細雪
谷崎 潤一郎
03 下巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 页
五
「さっき、ちょっと話しといたけど、………」
幸子は今日、悦子が側を離れないために雪子と明日の打ち合せをする暇がなかったので、さっき、蛍狩の路で二人きりになった機会に、雪子ちゃん、明日はお午に会うのんやで、………と、耳打ちをしかけたのであった。が、雪子が、ふん、と云っただけで、あとを聞こうともせず、闇の中をしずかに附いて来るだけなので、幸子も接穂がなく、黙ってしまったのであったが、妙子が云うように、この気楽そうな鼾を聞いては、明日の会見をそんなに気に懸けているようには思えないのであった。
「雪姉ちゃん見たいに何遍もしたら、見合いも平気になるもんか知らん」
「そうかも知れんわな。けど、張合いのない人やわ」
と、幸子は云った。
五
悦子は、お母ちゃんと大きい姉ちゃんとはたびたび関ヶ原へ行ったことがありますから待っています、こいさんは小さい時分に行ったきりなので、もう一度見たいそうですから、今日はこいさんと悦ちゃんが連れて行って戴きなさい、―――と、云われると、やっぱり何かあるのだなと合点したらしく、いつもなら姉ちゃんも一緒でなければなどと駄々を捏ねずには措かないところを、大人しく承知して、耕助と、惣助と、妙子と、弁当持ちの爺やとの五人で、迎えに来た自動車に乗って出かけたが、それから程なく、爛柯亭の六畳の間で、幸子が雪子の