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ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

03 下巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 226,715 字 · 431 页

青空文庫

三十五

三十五

光代は四日の朝に来て返事を聞いて帰ったが、中一日置いて六日の夕方にもう一度訪ねて来た。自分は四日に此方の御返事をミヤコホテルへ電話で知らせて、その晩の汽車で帰京する予定にしていたところ、この縁談の橋渡しであるお母さんの代理として、君の介在することが必要であるから、と云う社長の命令で、二三日帰京を延ばすことになった、それで、今日又社長から電話があり、御牧子爵との会談が滞りなく済んだことを此方へお伝えするようにとのことであったが、なお、御牧側の方々に雪子お嬢さんを始め皆さんをお引合せしたいので、お差支えなかったら、明後八日の午後三時頃に嵯峨までお越しを願いたいのである、此方は子爵と、当日までに駈け着けることになっている御牧氏と、社長と、私と、それから多分京阪在住の御牧家の親戚の方が一人二人参加されるであろう、何分にも、今少し余日があるとよいのだけれども、社長が忙しい体なので、一遍に用を片附けようとするところから、こう云う急な話になったことを悪しからず御諒承願いたい、そして何卒、こいさんも、悦子お嬢さんも、なるべく皆さんがお揃いでお出で下さるように、と云う口上なのであったが、折角ながら妙子だけは、左様な席へ出すことを本家が許可しない事情にあるので、と云って断り、悦子は学校を早退きさせることにして、四人が