轻松读懂日语经典作品
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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
と声をかけた。お辞儀丈けは交換していたが、口を利くのはこれが皮切りだった。
「今黒鯛の大きいのを釣り落しました」
と相手が極く気軽に応じたので、新太郎君は岩へ上って行った。
「浮子はないんですか?」
「ハッハヽヽヽ、あなたは素人ですね?」
「えゝ」
「玄人は感で釣ります。目で釣りません」
と老人ナカ/\天狗だ。
「魚が食うと竿へ響くんでしょう?」
「竿から手、手から脳天へ響きます。ブル/\ッとね。何とも言えない好い心持です」
「それは僕も経験があります。心臓がドキッとするでしょう?」
「これは話せますな」
「矢っ張り浮子を使わないで、こんな大きな鯉を引っかけたことがあります」
と新太郎君は手を拡げて見せた。
「鯉はむずかしいですよ。何処ですか?」
「子供の時浅草の釣り堀でやったんです」
「ハッハヽヽヽ」
「ヘッヘヽヽヽ」
「浅草の釣り堀と太平洋を一緒にされちゃ溜まりませんな」
「太平洋では何が釣れますか?」
「こんな大きな黒鯛を二枚釣り落しました」
と老人も手真似で寸法を示した。釣り落したことばかり言っている。
「お邪魔じゃありませんか?」
「いや、結構です。あなたは東京だそうですな?」