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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
士族平民
俊男さんなぞも随分親切にして戴きました」
「操さんは?」
「私も秀子の為に是非お願い申上げ度うございます。お母さん、一遍お会い下されば直ぐにお気に召しますわ」
「その方なら、私、お声だけは承わりました」
「あら」
と悉皆計略で固めている操さんは一寸慌てたが、
「いつかお父さんのお見舞いにお出下すった時でございましょう?」
と気がついた。
「いゝえ、友三郎へ電話をかけて参りましたのよ。私、洋服屋の小僧さんかと存じました」
と貞子夫人は序をもって貶しつけた。商家や平民は眼中にない。折から、
「秀子は派手好きだから、大商人のお上さんに丁度好かろう」
と主人公の独言が筒抜けた。
士族平民
「斯ういう具合で主人公には毛頭異存がありません。寧ろ町家を希望しています。話が分っていまさあ。何うして/\、こゝが来ているどころじゃありません」
と仲人屋の宮地さんは禿げ上った額を叩いて首を竦めた。西川家へ報告に罷り出たのである。事後即夜だから、運びの思わしかったほどが察しられる。
「結構でした。何と言ってもお父さんですからな」
と西川さんも満足のようだった。
「奥さんが睨んでいる間は反対そうなことを申しますが、何ぼ奥さんだって目が草臥れまさあ。