轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
転地療養
転地療養
寿商店の独息子新太郎君が三度目の診察を受けた時、丹波先生は漸く転地を勧めてくれた。
「山が好いでしょう。一月ばかり呑気に遊んで来れば直りますよ」
と子供の頃から手にかけているから、新太郎君の容態を兎角軽く見る。新太郎君は又重く言う癖がある。今回は元来転地が希望だったので、既に去年の避暑の宿を頭に描いていたから、
「海岸じゃいけませんか?」
と註文をつけた。
「海岸でも結構です」
と丹波さんはニコ/\していた。番頭や小僧の多い商店は下町の開業医に取って一番大切の患家である。
「それじゃ海岸にします」
と新太郎君は元気好く答えた。去年までは学生だったから、毎年大威張りで避暑に行けたが、この四月からは親父の店の月給取だ。矢張り一緒に卒業した従兄弟の寛一君と二人がかりで番頭共にお手本を示す立場だから骨が折れる。神経衰弱にでも罹らなければ浩然の気は養えない。
「兎に角お父さんから避難出来れば宜いんでしょう?」
と先生も多少その辺の消息を解していた。
「冗談仰有っちゃいけませんよ」
と新太郎君は頭を掻いて診察室を出た。それから薬局の窓口へ廻って、
「もし/\、お薬は後から小僧が取りに参ります」