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だっせんむすこ

脱線息子

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页

青空文庫

条件つきの後悔

「はあ」

「こゝはこのまゝにして行って、日曜毎に寛一君と二人で遊びながら見に来ておくれ」

「はあ」

とそれから「はあ/\」が尚三四回続いた。

夕食後、新太郎君は松浦さんの一家へ暇乞いの序に父親を紹介した。

「順繰りに神経衰弱に祟られまして、今晩から伜と入り代りです。何分宜しく」

と言って扇子をパチ/\させているところは、新太郎君の贔屓目かも知れないが、然う怖いガ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ナーさんとも見えなかった。母親が気を利かしたのか、手土産はチョコレートだった。松浦家では恐ろしくチョコレートの好きな親子だと思ったに相違ない。

条件つきの後悔

汽車の動き出すのを待っていたように、寛一君は、

「君、往生際が好かったね」

と冗談に託して感想を洩らした。

「うん?」

「案外往生際が綺麗だったってことさ」

「何を言やがるんでい」

と新太郎君は見かけほどに悄げていなかった。

「悪に強いものは善にも強いっていうが、矢っ張り然うだね。看病をしましょうか東京へ帰りましょうかと神妙に恐れ入って、ジタバタしなかったところは見上げたものさ」

「この上罪人扱いにするなよ。斯うやって縄つきにして引いて行く丈けで沢山だろう?」