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だっせんむすこ
脱線息子
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年7月~1928(昭和3)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,293 字 · 221 页
と宮地さんは尚段取を話した。万般渋谷の伯父さんや友三郎さんと打ち合わせてある。
同じその晩、松浦家では大奥さんが頗る不機嫌だった。お天下さまが初めて反逆に会ったのだから無理もない。先ず手を叩いて女中を呼んだ。
「はい」
「早くよ」
「はい/\、此方でございましたか?」
「何処にいるものかね。病室でなければ此方に定っていますよ」
「はあ」
と女中は真四角に坐った。うっかりすると雷さまの落ちることを知っている。
「操を呼んで下さい。直ぐ来るように言って下さい。友三郎さんもよ」
と奥さんは頭痛膏を張った顳をピク/\動かした。
「お母さま、御用でございますか?」
と操さんが現れた。
「友三郎さんは?」
「はあ」
と友三郎さんが続いて入った。
「お前達は何うしたものですね? 秀子は行きたいとも何とも思っていないんですよ」
「…………」
「それだのに寄って群って渋谷の伯父さんまで引っ張って来てお膳立てをしてさ」
と大奥さんは果してそのことだった。
「お母さん、あれは秀子が我儘であんなことを申しますのよ。心持はもうチャンと定っているんですわ」
「それが私、何うも腑に落ちませんの」
「何故でございますか?」